
北海道社会福祉士会日胆地区支部主催の権利擁護セミナーが19日、室蘭市東町の中小企業センターで開かれた。参加者は専門家の報告などを通して、道内でも顕在化している「8050問題」に理解を深めた。
「8050問題」は、50代前後の子どもを80代前後の高齢の親が養い続ける状況を指す。札幌市でも昨年、母と引きこもりの娘が孤立し自宅で遺体で見つかり、「胆振でも増えている実態がある」(同支部)という。
今回は高齢、生活困窮、精神、障害の各分野、成年後見支援センター、地域包括支援センターなどの専門家6人を招き、市民ら約60人が参加した。
各専門家からの報告のうち、室蘭市高齢福祉課の花島啓子主幹は、子どもが親をみないなど虐待が疑われる事例について説明した上で「親が健康でいるうち、問題を当事者が意識しないうちに対象者と接触していくことが大事」と強調。生活困窮世帯からの相談で問題が表面化するケースや、50代前後の子どもの方が支援の拒否や、会えないことが多い実態など、早期の問題把握や対応の難しさが浮き彫りになった。
会場からは、介入が必要とみられる具体的な相談も寄せられた。総括では、各分野の専門家が話し合う場で支援を考え、どんなチームで行動するか、対象家庭を孤立させず道しるべを持って臨むとともに、地域でもこの問題に関心を持っていくことの重要性を確認していた。
(粟島暁浩)
【写真=「8050問題」について理解を深めた権利擁護セミナー】
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