
「がん対策市民講演会」が23日夜、室蘭市中島町の市生涯学習センター「きらん」で開かれ、国立がんセンター名誉総長(日本対がん協会会長)の垣添忠生さん(78)が講演。がん診療・基礎研究に携わる専門医、自らもがんを経験した「がんサバイバー(がん患者やがんを克服した人)」、妻をがんで失った遺族の立場から、「がん」に対する思いを改めて語った。
垣添さんは、上皇さまの前立腺全摘出手術を担当した医師で、「妻を看取る日 国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録」(新潮文庫)などの著者。
講演では、2007年(平成19年)12月、最愛の妻を肺がんで亡くし、無力感や喪失感に襲われた体験などから、大切な人を失って大きな悲嘆に襲われている人へのサポート「グリーフケアの大切さ」などを説いた。
大腸と腎臓のがんを治療した「がんサバイバー」の立場では、早期発見・治療につながる検診の重要性を説明。「がん患者はなぜ、自分が…と嘆き、疎外感や孤独感、不安にも悩まされる。孤立させてはいけない」と強調した。
その上で、17年6月に立ち上げた患者支援の活動「がんサバイバー・クラブ」や、がんサバイバーへの理解や支援を訴えながら、全国のがんセンターを行脚した「全国縦断がんサバイバー支援ウォーク」(18年2〜7月)―などの活動を解説。「がん経験者を特別視しない社会」への取り組みを紹介した。
室蘭市、RFL室蘭実行委員会、室蘭市医師会の主催。室蘭市内の行政機関や医療機関、患者団体、町内会連合会、報道機関などによる「室蘭がんフォーラム」の協賛。市民ら約120人が耳を傾けた。
垣添さんは24日、RFL2019室蘭の会場・道の駅みたら室蘭隣接広場(同市祝津町)で「検診の重要性」について解説する予定だ。
(松岡秀宜)
【写真=市民ら約120人が、垣添さんの講演に耳を傾けた「がん対策市民講演会」】
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