■ 「むかわ竜」新属新種が濃厚―道内初、正式決定へ
【2019年6月19日(水)朝刊】


記者会見で「むかわ竜」の研究成果を発表する小林教授(中央)と竹中町長(右)、西村智弘学芸員
 北大総合博物館の小林快次教授を中心とする国際研究グループは18日、むかわ町穂別地区で発見された国内最大の全身骨格化石「むかわ竜」について「頭骨や背骨など他の恐竜にはない固有の特徴が多く見られる」と研究成果を発表。小林教授は「むかわ竜は新属新種の可能性が極めて濃厚だ」と述べた。正式な決定は学術誌に投稿している論文が発表された段階で新種と認められ、学名が付けられるという。新種が確認されると、道内初の快挙となる。

 記者会見した小林教授によると華奢(きゃしゃ)で細い前足、背骨の上に伸びる突起(神経棘(しんけいきょく))が大きく前に傾いていることなど「固有の特徴を持つことから、むかわ竜は新属新種の可能性が極めて濃厚」と判断したという。また頭骨にも多くの固有の特徴が確認されており「むかわ竜は他の恐竜とは異なっている」と付け加えた。

 これまでの研究で「むかわ竜」はハドロサウルス亜科のエドモントサウルス類に属し、頭骨や腰骨などの形状が似通っていることから、ロシアや中国のハドロサウルス亜科の近縁であることも判明したという。さらに、後ろ足の骨組織を分析したところ、樹木の年輪に当たる成長停止線の間隔などから9歳以上の成体であり、12歳以降に死亡したとみられることが分かったという。体重については二足歩行の場合は4トン、四足歩行では5・3トンと推定されるとしている。

 研究グループが提出している論文が発表されると「むかわ竜」の新属新種が正式に認められ、学名が公表される。小林教授は「論文はむかわ竜を基点として、ハドロサウルス科恐竜の進化や繁栄の様子などをまとめた。世界に発信できる内容もあるので追加研究にも力を入れていきたい」と述べた。

 小林教授らは21〜23日まで、静岡市で開催される日本古生物学会2019で研究成果を発表する。
(佐藤重伸)


◆―― 復興途上のマチに朗報、恐竜研究飛躍へ

「他の恐竜とは異なっている」。レプリカを前に背骨の化石を手に説明する小林教授 頭骨の特徴を説明しながら「他の恐竜とは異なる」。発掘当初から新種の可能性を示唆し、研究チームを率いる北大総合博物館の小林快次教授は「新属新種であることが極めて濃厚になった」と自信を持って言い切った。手続きの関係で新属新種の正式な確定にはまだ時間を要するとみられているが、日本の恐竜研究に大きな飛躍をもたらす研究成果は、胆振東部地震の復旧、復興途上にある同町にとっては朗報となった。

 世界各地をフィールドに恐竜化石を追い求め、研究に当たる「イーグルアイ」にとっても「むかわ竜」は思い入れの強い恐竜だ。発掘からクリーニング、研究成果発表まで5年数カ月。昨年9月、国内最大の全身骨格恐竜化石であることを明らかにし「むかわ竜の全貌を明らかにしたい」と本格的な研究、論文執筆に着手した。

新属新種の根拠となった「むかわ竜」の頭骨のレプリカ(上) 小林教授は、頭骨や背骨をはじめ「むかわ竜」のみが持つ固有の特徴が多く見られたことから「研究グループとして新しい恐竜であると(論文では)結論づけた」と説明した。小林教授は「8割の骨が恐竜の生活を教えてくれる。むかわ竜は海から見つかっており、恐竜研究の在り方を変えた大発見である。世界に多くの情報を発信させたい」と述べた。席を立った小林教授は「次回は(正式に新属新種が決まるので)名前を発表できるでしょう」と笑顔を見せた。

 記者会見に同席していた同町の竹中喜之町長は「むかわ竜が学問の世界に正式デビューする」と素直に喜びを口にした。「むかわ竜」を復旧、復興のシンボル、地域資源と位置付け、「恐竜ワールド構想」を掲げる竹中町長は「世界恐竜博では全国デビューを果たすが、一日も早い復興を目指して取り組む姿も見てほしい」と語った。

 また、民間レベルで「むかわ竜」を応援、まちづくりに結び付ける活動をしている恐竜ワールドセンターの工藤弘代表は「新種恐竜となれば大変に喜ばしいことだし、正式な発表を待ちたい。今後も恐竜を生かした取り組みを続けていきたい」とさらなる町の活性化を願った。
(佐藤重伸)

【写真=(上から順に)記者会見で「むかわ竜」の研究成果を発表する小林教授(中央)と竹中町長(右)、西村智弘学芸員「他の恐竜とは異なっている」。レプリカを前に背骨の化石を手に説明する小林教授新属新種の根拠となった「むかわ竜」の頭骨のレプリカ(上)




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