■ 増える空き家、膨らむ解体費に室蘭市が国へ要望強める
【2019年6月12日(水)朝刊】

昨年の胆振東部地震で外壁が一部損壊し、今回解体する中央町の空きビル
 室蘭市は増え続ける空き家の対応に頭を抱えている。2019年度は初めて、行政が所有者不明の建物を解体できる略式代執行に踏み切り、外壁が崩れ落ち危険な状態の空きビル(中央町)を撤去する。ただ建物にはアスベストが使用され、事業費は1億3640万円と想定の倍に跳ね上がった。対応が困難な空き家は市内に点在し、自治体単独の解消の限界が近づく中、市は国への要望を強めている。
(林帆南)


 ■行政代執行

 周囲に危害の及ぶ可能性がある空き家は本来、所有者自ら解体など処置を取る必要がある。所有者不在や資力がない場合は、行政の介入が避けられない。

 空き家に対する行政代執行は2015年(平成27年)以前は建物の解体着手が難しかったが、同年施行の「空家等対策特別措置法」により、所有者への指導や勧告など手順が明記されたことで実行しやすくなった。一方で国の助成制度は「空き家再生等推進事業」「空き家対策総合支援事業」があるものの、補助額に上限があり「市の財政の負担は大きい」(建築指導課)のが実状だ。

 ■通報は926件

 市は17年、道内初の行政代執行に踏み切った。知利別町の空き家で、敷地内の擁壁が崩れ、近くの住居に被害が出て、さらに拡大の懸念があった。所有者は近隣に住んでいたが費用の支払い能力がなく、市は特措法に基づき解体。費用は所有者が分納で払っている。

 市への空き家に関する通報は、18年度末までで926件寄せられた。うち相続人がいないなどの理由で未対応の物件は、特措法が施行された15年度の260件から、18年度までの3年間で482件に膨らんだ。

 今回解体するビルは、昨年の胆振東部地震で外壁が一部損壊。近隣への被害拡大が避けられない状態だったため、市は空家等対策会議で協議。空き家対策総合支援事業に基づき解体を決断した。

 ただビルにはアスベストの被覆材が使われ、建物内からPCBを含むトランスも発見。除去や処理に約7千万円かかり、事業費が大きく膨らみ課題を残した。

 ビル解体後の土地の公売でも固定資産税分の回収にとどまる見通しで、撤去費までの回収は「難しい」(市担当者)という。国の補助金2千万円と特別交付税措置の5千万円を活用しても、現時点では事業費の半分は市が負担しなければならない可能性が出ている。

 ■人命最優先

 同課の末尾正主幹は「市内には危険で解体すべき空き家が多くある。本来は所有者が管理すべきで、市は人命最優先で対応するが公費での解体は課題が残る」と苦悩する。土地と建物の所有者が異なる場合は、公売による土地活用ができない上、行政の解体が逆に、対応しない所有者の利益になってしまう可能性がある。

 増え続ける空き家の対応について、青山剛市長は5月27日の記者会見で「国の補助メニューは(現場の)特殊要素が十分想定されていない」と拡充を求める方針を強調。解体の公金投入は「慎重であるべき。空家等対策会議でしっかりと資料に照らして判断していきたい」と話した。

【写真=昨年の胆振東部地震で外壁が一部損壊し、今回解体する中央町の空きビル




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