■ 室蘭市の次世代エネルギーとして港生かし水素を産業に
【2019年5月28日(火)朝刊】

水素エネルギー産業の創出へ室蘭港の可能性を探る
 室蘭市は、新たな二酸化炭素(CO2)を出さず、石炭や石油燃料に代わる次世代エネルギーとして期待される水素の産業化に動き出す。港の優位性を生かし、海外から再生エネルギー由来の水素を運び、エネルギーとして利用するサプライチェーン(供給連鎖)構築に向け、国内外の先進事例を調査し、室蘭の国際的水素集積地としての可能性を探る。

 市は6月3日開会の第2回市議会定例会に提出する2019年度補正予算案に、再エネ由来水素利活用調査費1462万円を計上。海外で製造した再生エネルギー由来の水素を国際航路などで輸入し、発電などエネルギーとして利用する可能性を調査する。

 国際社会では、15年に日本を含む国連加盟国が30年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応が急がれている。世界の投資家は、SDGsに取り組む企業への投資を増やし、反対に石油燃料など温暖化ガスを生み出す事業から撤退する動きが加速している。

 室蘭でも石油元売り大手のJXTGエネルギーが、室蘭での石油化学製品の製造を停止するなど、石油需要の減退や脱炭素といったエネルギーの構造転換の影響が広がる。市は転換を新たな産業創出や企業誘致のチャンスと捉え、静穏性や鉄鋼などの産業が集積する室蘭港の特性を生かし、水素エネルギーのビジネス展開を模索する。

 調査と同時に水素をはじめ航空機など、今後の成長が期待される産業を後押しする10〜30年後の中長期を見据えた「成長産業振興ビジョン」も策定する。

 青山剛市長は「国際的に脱炭素の流れや欧州では水素を輸出入する動きが加速する。室蘭港はエネルギーや物流で貢献してきた歴史がある。港湾の活用も含め水素の供給拠点として室蘭の可能性を探り、水素社会の実現を展望したい」と事業の狙いを説明している。
(菅原啓)


◆―― 「補正」9億6千万、室蘭市入湯税導入を検討

 室蘭市の青山剛市長は27日、記者会見を開き、6月3日開会の第2回市議会定例会に提出する議案を発表した。改選後初となる2019年度一般会計補正予算は4億8400万円を計上。会期中の追加予定を合わせ計9億6千万円を見込んだ。国交省に副市長派遣を要請していることを説明。20年度からの入湯税導入を検討していることを明らかにした。

 一般会計の19年度当初予算と合わせた総額は449億8400万円(会期中追加分除く)で、18年度当初比で26億6700万円、6・3%増加した。

 補正は「定住対策、子育て対策、産業振興対策をパッケージにした人口減少対策」に力を入れた。「子育て支援員」の養成研修会開催や、国際的水素集積地としての可能性を探る調査事業などを目玉に位置付けた。

 中央町の空きビル解体には1億3640万円を投じる。補助金と特別交付税措置を見込むが、約7千万円が一般財源で負担が大きい。国の補助制度がアスベスト対策などを加味していないことも要因で「国に支援拡大」を要望する。

 地区連合町会の会館整備に助成する制度を創設し、蘭中地区連合町会と港北地区連合町会に計5400万円を助成する。森林環境譲与税基金創設で353万円の積み立てを見込んだ。条例関連では、副市長の定数を「2」に見直す改正案を追加提案する予定で、港湾部長兼務の方針。人事は7月1日付。10月末の本輪西会館廃止に伴い、市会館条例を廃止する。

 入湯税徴収の対象施設は、他地区から温泉を持ってきて沸かし、活用している数カ所を想定。1回の入浴当たり150円の標準税率を適用した場合、年間3千万〜4千万円程度の税収になるという。観光振興に役立てる考え。
(林帆南)


◆―― 3選の決意どこに

 【解説】青山市政3期目初の政策予算は、子育て環境充実や産業振興ビジョン策定などを柱とした人口減少対策に注力した。一方、市長選での厳しい批判票を踏まえた施策は見当たらず、3期目の決意としては見えにくい。

 ライフワークでもある水素社会を見据えたまちづくりでは、国際的水素集積地としての可能性を探る調査事業など、より一歩踏み込んだ。ただこれ以外に目新しさは感じられず、改選後予算としては物足りなさを残した。

 市長自身は「選挙では白鳥台のまちづくりなどの争点があったが、必ずしも予算につながる話ではない」とした。現職ゆえに政策は路線の延長でインパクトを出すのは難しいかもしれないが、市民にどう映るのか。

 病院再編やスキー場存廃、新市場の在り方―。難問は多いが、任期はすでに「結果が求められる」(市幹部)3期目に突入した。悠長なことを言っている暇はない。市民は市長からの強いメッセージを求めている。
(鞠子理人)


◆―― 待機児童対策を拡充

双葉保育所の新園舎完成予想図(上)と現園舎(下) 室蘭市は、待機児童対策を拡充する。国の交付金を活用して、民間の保育所・幼稚園の施設整備に補助し、待機の大半を占める0〜2歳児の低年齢層に手厚い施策を展開。保育の担い手確保策で、保育士を補助する子育て支援員の養成研修を始める。市が重要政策に掲げる子育て環境の向上をハード、ソフトの両面で狙う。    

 民間の保育所・幼稚園の施設整備への助成は、2019年度一般会計補正予算案に、関連経費合わせて約4億7900万円を計上した。保育所の移転新築と、幼稚園の認定こども園化を想定。いずれも20年4月の開所・開園を予定している。

 保育所は、社会福祉法人室蘭福祉事業協会が運営する大沢町の双葉保育所が、みゆき町の旧青少年研修センター跡に木造平屋の新園舎を新築、移転する。広さは現園舎の2・5倍となる千平方メートルで、受け入れ児童数は拡大する。

 幼稚園は、学校法人明星学園が運営する祝津町の清泉幼稚園が、幼稚園と保育所の機能を併せ持った幼保連携型の認定こども園へ移行する。現園舎に近い祝津町の旧市立室蘭総合病院祝津分院跡地に新園舎を新築する。現在140人の定員は、幼稚園教育を希望する54人と、新設する保育希望の89人を受け入れる。

 市の待機児童はここ数年、年度当初こそゼロだが、年度途中の入所・入園の希望者が多い。直近3カ年では毎年10月時点で13〜35人の待機が発生。いずれも3歳未満児だった。年間を通じた解消には至っておらず、市は対応を検討してきた。

 同時に、保育を担う人材確保にも力を入れる。保育所などで保育士の補助として働く「子育て支援員」の養成研修を初めて計画した。一定の研修を受けることで、子育て支援の担い手になることが期待されている。

 子育て支援員制度は、国が15年度に設けた全国共通の認定制度。30時間程度の講義や、保育現場の実習・見学などの研修を終了すると認定される。ただ研修を受けるには、道が開催する札幌市での研修に参加するしかなかった。

 研修は市内の事業者に委託し、夏をめどに市内で開催する。受講料は無料で、教材費のみを負担してもらう。補正予算案に関連経費169万円を計上した。市は「保育現場を離れている潜在保育士の現場復帰にもつなげたい」と話している。
(野村英史)

【写真=(上から順に)水素エネルギー産業の創出へ室蘭港の可能性を探る双葉保育所の新園舎完成予想図(上)と現園舎(下)




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