■ 戦争体験記憶継ぐ…洞爺湖町民有志が聞き取り刊行
【2019年3月15日(金)朝刊】

4年がかりでまとめた記録集を手に「広く利用してほしい」と期待する部会長の鈴木孝さん
 戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝え続けている、町民有志の洞爺湖町非核平和のまちづくり実行委員会(木村利正委員長)が、町内の戦争体験者らに聞き取りして「戦後73年 戦争の記録『聴く・語る・伝える』」を刊行した。死地へ赴いた兵士の苦悩や引き揚げの実体験など、戦争の怖さや悲しみを生の声でつづる。「体験者がいなくなる前に残しておく必要がある」と思いを込めた。

 聞き取りは、実行委の記録・保存部会が2015年(平成27年)に始め、4年がかりで証言と資料をまとめた。部会のメンバー6人が、90代前後の体験者に複数回面会して、6人分の声をまとめた。

 高齢の体験者も当時は20歳前後の青年だった。満州に派遣された男性は、ソ連軍との交戦で戦友を即死させた流れ弾が胸に当たり、銃剣の先でほじくり出した生々しい記憶を語った。戦艦「長門」の乗員だった男性はフィリピン沖海戦で敵機の爆弾が隣の居室に落ち1人を残して全員爆死した光景が忘れられない。

 外地で終戦を迎えた引き揚げ体験者4人の記録も載せた。樺太(現サハリン)のある村にいた男性は国民学校の6年生だった。ソ連軍の進駐を前に集団自決の話し合いが進む中、唯一の医師がソ連側と交渉し九死に一生を得た。赤い布を使って歓迎のソ連旗を母と手縫いしたことを覚えている。

 このほか、05年に洞爺村遺族会が発刊した記念誌「礎」にある体験記4人分を再収録し、実行委8人の戦争に対する思いを載せた。

 旧虻田町と洞爺村が合併した同町は、太平洋戦争で300人弱の戦死者を出した。戦没者の名簿や、虻田漁港近くにあった海軍工廠(こうしょう)跡など、町内の戦跡といった資料も充実させた。

 実行委はこれまでも「すいとんを食べて戦争を語る集い」などを催し、体験者の声を聞く機会を設けてきた。ただ、体験者は90代を超え、戦争の歴史と教訓を次世代へ記録する意義があると考えた。

 折しも19年度は、町が非核平和の町宣言から10年に当たる。部会長の鈴木孝さん(79)は「体験者の多くは『つらかった』とは話しても具体に語ろうとはしない。それだけすさまじい体験をしたのだろう。聞き出したかったが心にブレーキがかかった。それでも貴重な内容ばかり。広く利用してほしい」と話した。

 記録集はA4判47ページ。製本は町が担当し13日に完成した。500部作製。町内の中学校、高校や公共施設へ配布するほか、希望する町民に提供する。

 問い合わせは町総務課庶務・職員グループ、電話0142・74局3000番へ。
(野村英史)

【写真=4年がかりでまとめた記録集を手に「広く利用してほしい」と期待する部会長の鈴木孝さん




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