■ 登別の飲酒事故初公判で被告黙秘、危険運転めぐり対立
【2018年11月9日(金)朝刊】

初公判後に家族のコメントを読み上げる千崎弁護士(左)ら
 登別市若山町で昨年11月27日、横断歩道を渡っていた男性専門学校生=当時(19)=を乗用車ではねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などの罪に問われた登別市美園町の無職、藤森雄三被告(40)。8日の初公判で、藤森被告は黙秘し、弁護側は「危険運転致死に当たらない。過失運転致死にとどまる」と主張。「赤信号を殊更(ことさら)無視した」などとする検察側の主張と真っ向から対立した。

 札幌地裁(駒田秀和裁判長)で開かれた裁判員裁判による初公判は午前10時から始まり、藤森被告は約30秒間沈黙を貫いた。その後、弁護側が黙秘権の行使を告げ、駒田裁判長の「話したくないですか」の問い掛けに、静かに1回うなずいた。

 危険運転致死の構成要件の一つ「赤信号を殊更に無視したか否か」が最大の争点。

 検察側の冒頭陳述によると、藤森被告は事故当日、酒気を帯びた状態で車を運転し、別の乗用車と接触事故を起こした後に逃走。(1)接触事故現場から約100メートル先の十字路交差点(同市桜木町)を左折する際(2)さらに1・6キロ逃げた後の丁字路交差点(同市若山町)を右折する時―の計2カ所で赤信号を無視した。

登別の専門学校生死亡事故の主張まとめ
 その直後の午後10時20分ごろ、同市若山町2の道道で、赤信号を殊更に無視し、制限速度を大幅に超える時速91〜97キロで交差点に進入。横断歩道を渡っていた森口修平さん=当時(19)=をはねて死亡させた。事故後の飲酒検査で、呼気から基準値の約3倍のアルコールが検出された。

 検察側は、現場の状況などから、「少なくとも、衝突時の約4秒前には(被告側の信号機が)赤信号に変わっていた」などとし、現場交差点に向かう途中、2カ所で赤信号を無視していた状況も重視。「現場交差点の赤信号だけ、見落としたとは考えにくい」などと指摘した。 

 弁護側は「車両トラブルを起こした相手から同乗者を守るためだった」とし、「追尾してくる相手に注意が向いていた。同乗者の指摘で赤信号に気が付き、ブレーキを踏んだが間に合わなかった」などと、あくまで危険運転致死の成立を否定した。

 きょう9日以降は、捜査を担当した警察官らの証人尋問が予定されている。


◆―― 目をそらす被告に怒り、家族「悔しい」

 最愛の息子、森口修平さん=当時(19)=を失った家族は8日、藤森雄三被告(40)と、事故後初めて向かい合った。終始うつむいて、目線をそらし、罪状認否で黙秘を貫いた被告に「憤りを感じる」(家族の代理人)。行き場のない怒りを懸命に抑えた。

 公判直前に「時間がたてば心が落ち着く、と思っていたが、悲しい気持ちは変わらない」と話し、「修平の悔しさを伝えてあげたい」との決意で臨んだ母の博子さん(56)。公判中、時折ハンカチで目頭を押さえた。

 「殺人と同じ」。昨年の事故後、声を詰まらせた父の幹博さん(56)は「何も語らなかったのは、いかがなものか。自分のしたことをどう思っているのか。何も伝わらなかった」と、初公判後に記者会見した家族の代理人の千崎史晴弁護士が読み上げるコメントの中で、悔しさを吐露した。

 千崎弁護士は、博子さんのコメントも発表。「『自分の子を守るため、追尾してくる車から逃げた』とする主張は納得できない。そもそも飲酒運転の車に乗せることは、子どもを危険にさらす行為では…」

 3学年離れた兄の達矢さん(22)は傍聴席で、修平さんの遺影を手に、口を固く結んで初公判の経過を見守っていた。千崎弁護士は「実際に何が起こっていたのか、事故の全容解明を期待している」と家族の気持ちを代弁した。

 両親は公判のすべてに参加し、「被害者参加制度」も使い、修平さんがどんなに大切な子であったかを伝えていく。

【写真=初公判後に家族のコメントを読み上げる千崎弁護士(左)ら




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