■ 雇用維持に安堵、日鋼室蘭「分社化検討」に理解も
【2018年9月28日(金)朝刊】

分社化の検討が始まった日本製鋼所室蘭製作所。地元からは理解を示す一方、先行きを不安視する声も聞かれる
 日本製鋼所室蘭製作所(岩本隆志所長)が、2019年10月にも室蘭の関連会社とともに組織を再編し、分社化に向けた検討が発表されたことを受け、地元関係者からは雇用維持の見通しに安堵(あんど)し、現状に対する判断に理解を示していた。

 室蘭製作所が担う素形材・エネルギー事業は、原子炉圧力容器やタービンローターシャフトなど電力・原子力関連部材、石油精製用リアクターなどの鋳鍛鋼品、天然ガスの採掘・輸送用クラッド鋼管を製造。国内外のエネルギー分野を支えている。

 11年(平成23年)の東日本大震災による原子力発電所の事故以降、主力製品の原発関連の受注が激減し、業績は低迷する。18年3月期の売上高は408億円と大震災前に比べ3分の1に縮小、15億円の営業赤字を計上した。

 一方、広島製作所が中心の産業機械事業は好調で、プラスチック射出成形機のほか、最近は電気自動車(EV)関連の製造装置が伸びており、作業応援で室蘭の人員を送り込んでいる。

 これまで一時帰休や休日配置変更といった低操業対策やコスト削減による収益改善を進めてきたが、受注回復のめどが立たず、事業単体での安定した黒字化にはさらなる改革が必要と判断。需要に見合った事業再構築として分社化の検討に入った。

 22日の定期大会で19年度の運動方針を確認したばかりの日鋼室蘭労働組合。高野聖久組合長は「検討段階であり、雇用は維持すると聞いている。組合員に不安を与えないよう丁寧に対応していく」と冷静に受け止める。

 新富町会の井上陽清会長は「かつての勢いがあったころに比べ、全体的に活気が少なくなっていた印象もあった」とショックな様子。「技術力を生かし、何とか息を吹き返してほしい」と再構築による復活を願う。

 地元在住の日鋼室蘭OBは「業績が落ち込む中で人員削減のうわさもあった。製作所の生き残りをかけた選択であり仕方ない」と語る。一方で「今の若い人たちの考え方は分からない。一斉離職などにつながらなければ良いが」と不安を口にしていた。
(菅原啓)

【写真=分社化の検討が始まった日本製鋼所室蘭製作所。地元からは理解を示す一方、先行きを不安視する声も聞かれる




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