■ 老朽化が進む室蘭市の水道インフラどう守る
【2018年9月14日(金)朝刊】

断水を受け給水袋を準備する室蘭市職員。水道インフラ対策強化が求められている
 市民の生活を支える水道。室蘭市の水道は高度経済成長期に整備された。ただ、財政難などを理由に、老朽化が進む施設の更新が十分に進んでいるとはいえない。「命のインフラ」を次世代にどう引き継ぐか。新たな経営計画となる「水道ビジョン」策定に着手し、水道事業の基盤強化の検討を進める。胆振東部地震など全国で相次ぐ「想定外」災害の発生を受け、自治体側に改めて対策の強化が迫られている。


◆―― 人口減で収益悪化

 「事業の健全経営に向け民間委託も一つの手法だ」(佐藤潤議員)

 「健全経営を維持するための料金改定による収益確保についても検討していく」(塩越順一水道部長)

 今年6月の第2回市議会定例会で、水道管など施設の更新や耐震化の重要性を巡って議論する場面があった。市は財政面での厳しさを踏まえて、将来的な料金の値上げの可能性について言及した。

 今後の水道事業の最大の焦点は料金だ。住民からの料金収入で事業を運営するのが原則。節水技術が発達し給水による収入が減少。財政負担の重さが更新の足かせとなっているのが現状だ。水の供給を受ける人口が減ればさらに直撃する。

 室蘭の水源地はチマイベツ川、ペトトル川、登別川がある。2017年度(平成29年度)の年間給水量は1020万8千立方メートルで、料金を徴収した「年間有収水量」は826万9千立方メートル。過去5年間で給水人口が約6900人減ったことに伴い給水量は13%、有収水量は8%減少した。市は人口減による収入減などで将来的に「赤字になる」と予想する。


◆―― 更新緊急性高まる

 浄水場施設の老朽化も問題となる。チマイベツ浄水場は10年に耐震化工事を実施したが、築51年が経過した千歳浄水場は耐震化が未実施の状況。そのため、浄水場を共同使用する登別市との協議などを踏まえ、「千歳より能力の低い知利別浄水場の再使用の検討を含め、適正な管理運営を判断する」(市水道部)としている。

 市によると、40年の耐用年数を超えた老朽管の割合は17年度末に市内で43%。全体の耐震適合率は82・3%。厚生労働省によると、全国平均の14・8%を大きく上回っている。

 大阪北部地震では40年の耐用年数を10年以上も上回る管が破損し、影響が広範囲に及んだ。胆振東部地震では札幌市清田区で液状化した土砂に、破裂した水道管の水が加わって被害が拡大。全道的に水道管更新の緊急性が高まっている。


◆―― 「ビジョン」策定

 自治体の厳しい経営環境を受けて国は、広域連携の推進や民間企業の参入などを通じて水道管の老朽化対策を促進する水道法改正を議論し、秋の臨時国会での成立を目指している。

 こうした国の動きを受け市は「安全」「強靱(きょうじん)」「持続」の観点から「水道ビジョン」を策定し、業務の民間委託を含めた経営形態の見直しなどの調査を進める。塩越部長は「健全経営を維持するための料金改定による収益確保について検討する」と話している。
(粟田純樹)

【写真=断水を受け給水袋を準備する室蘭市職員。水道インフラ対策強化が求められている




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